ビッグファーザー・リトルボーイ
018
戻るドンドン! 時代錯誤な奇妙なファッションに身を包んだ大男が、一軒の民家のドアを叩いている。 「ノックしてもしも〜し? 誰かいませんかァ〜?」 男の名は、ジョセフ・ジョースター。1920年生まれの18歳だ。 ジョセフはノブに手を掛け、ドアに鍵がかかっていないことを確認すると、何のためらいも無く屋内に侵入した。 杜王町の住宅街に飛ばされたジョセフは、最初は辺りの見慣れない風景に大きく戸惑っていた。 だが、ワケのわからない展開とはいえ、事実は事実。 とりあえずは周囲の状況を確認し、情報を得るために行動を開始することにしたのだった。 その結果が空き巣まがいの行動なのは、ジョセフらしいといえばらしいのだろうか……? 「鍵かけないなんて無用心ですよォ〜、泥棒が入ったらいけないデスから僕がお留守番しときますねェ〜!」 この時点で室内に誰もいないのがほぼ確定的なのだが、ジョセフは白々しい台詞を吐きながら玄関を土足で上がってゆく。 そして、そのままリビングへと進んだジョセフは、文字通り目を剥いた。 「な、なんじゃこりゃぁ!!この家の持ち主はどんだけリッチマンなんだ〜ッ!?」 まず最初に目に付いたテレビを始め、ラジオなどの数々の電化製品。そして見慣れない家具や食器、調度品の数々。 元居た世界から50年以上も未来に佇む異国の地の文化は、ジョセフの好奇心をワシ掴みにした。 「おいおいランプも全部電気製じゃねーか!しかも見たこともねぇブランドだ。National? こっちはSONY??聞いたこともねぇなぁ」 何故かヘンなところにばかり注意が行ってしまうが、ジョセフにとってはこの家の中はまさに宝の山。次々と別のものに興味が移ってゆく。 「おっ、いいブランデーじゃねぇか!ちょっと拝借――と思ったら空き瓶かよ。 ん?今日の新聞か?ナニナニ、 『今日の天秤座の運勢はサイコー!!やることなすこと全てうまくいくでしょう。ラッキーアイテムはかわいいペット』 おおっ、ラッキー!!」 いちいち新聞を音読する程ジョセフのテンションはアゲアゲだった。 だが、その時ジョセフはあることに気付いた。 …ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「……おい、ちょっと待てよ……何で俺、『この新聞』が読めるんだ!?」 …ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 改めて自分が手にした新聞に目をやる。 意味は手に取るように解るのだが、その一つ一つの文字を凝視すれば、それらは全く見覚えの無いものばかりだ。 いや、『漢字』がいくつか見られるから、ここは中国か、アジアの何処かなのだろうか。 「おかしい……俺も東洋のことに関しちゃあ興味も知識もあるが、言葉は流石に勉強した覚えは無い。 なのに、何故か俺は今、『この言葉』が判る…… そういえば最初にトチ狂った話をしていたあの男も東洋人だった。あの男は、自分が何かをした、とか言っていたな。 だがこの現象はトリックだとか手品だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。 もっと強大なものの片鱗、といったところなのか――」 ジョセフが一転、シリアスモードで思案を巡らせている、まさにそのときだった。 「オイ、てめぇ!ひとん家に勝手に土足で上がって何してやがる!!」 背後から、いきなり怒声が響き渡る。 振り向くと、凄まじい威圧感を漂わせる(髪型の)少年が、仁王立ちでジョセフを睨みつけていた。 「あ、アレ、このお家の坊ちゃんでございますか……?」 (どっ、ドジこいたーッ!新聞なんかに集中しすぎて、住人が戻って来るのに気付かなかったぁーッ!!) 「てめぇ、どういうつもりか知らねぇが、事と次第によっちゃあただじゃあ置かねぇぞ! こちらと虫の居所が悪いんでな!」 空間と次元を超えて、今一組の『親子』の目線が交差する。 【杜王町の住宅街・仗助の家/一日目/深夜】 【ジョセフ・ジョースター】 [スタンド]:波紋法 [時間軸]:スイスのサンモリッツ到着直後(シーザーとワムウが戦う直前) [状態]: 健康、仗助の登場に焦っている。 [装備]: 1930年代ファッション [道具]:支給品一式(武器はまだ未確認) [思考・状況]1:仗助をうまく誤魔化す。うまくいかなかったら逃げる。 2:この世界についての情報を得る。 3:主催者等が使った未知の能力の詳細を調べる。 【東方仗助】 [スタンド]:クレイジーダイヤモンド [時間軸]:四部終了時 [状態]: 健康、怒り [装備]: 無し [道具] 支給品一式(武器はまだ未確認): [思考・状況]1:目の前の不審な男(ジョセフ)に対応する。というかシバく。 2:仲間を見つける。 3:荒木をどうにかする。
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