悪魔は潜み出る

戻る

実に奇妙だった、見知らぬ少年の首が吹っ飛んだ刹那気が付いたら見知らぬ屋内に居たのだ。 屋内に居たのは少年だった、鮮やかなピンクの髪の毛とそれとお揃いの色のセーターを着ている普通の少年だ。 「ここは・・・キッチンにテーブル、小さいが料理店のみてぇだ、クソオッ・・。こんで状況でどうすればッ。」 少年は動揺している、しかし自分の置かれた状況は極めて危険と理解している。彼がこれからの行動を模索しようとする矢先、 とおるるるるるるるる とおるるるるるるる 電話の着信音の音だ、だが近くに電気を使うものは天井のライトと空っぽの冷蔵庫くらいしかない。ではなぜ音がするのか、 「とおるるるるるるる」 「少年」が声で音を出しているのだ。 「とるるるるる 電話の音がする、どこにあるんだ? とおるるるるる ああ、ここか!」 少年はテーブルに置いてあるスプーンを手に取りまるで電話のように耳に当てたのだ 「もしもし」 傍から見れば、この殺し合い状況で頭がイカレたと感じられるだろう、だがこの「スプーン」、彼にとっては「電話」なのだ、「内なる主」と「自分」を繋ぐ。 (ドッピオよ、大変な状況のようだな。) 「は、はいボス。アラキって奴がオレに殺し合いを――」 (落ち着くのだ、お前の置かれている状況は全て知っている。) 「ならアラキはどうしますか?やはり始末をしますかッ!?」 (お前では勝ち目が薄い、今はなるべく生存の確率を上げ、このゲームから脱出を計れ。) 「し、しかし・・・!」 (お前のように荒木の意に沿わぬ者が少なからず居るだろう、その者達を利用するのだ、これは命令だ。) 「・・・わかりました、命令に従います。」 そう、少年いやドッピオは自らの身体に自分の「ボス」の魂がある。最も、本人は自覚は無いようだが。 (リゾットの時のようにお前に我がキングクリムゾンの腕とエピタフを与える、これで「未来」を読み、危険な奴は消せ。) 「はい。」 (怪しまれぬようにしばらく連絡は切る、頼んだぞドッピオよ、このディアボロが最も信頼する部下よ、お前が死ぬと私が一番困るのだ・・・) 「大丈夫です、任せてくださいボス。」 そして、彼らの「電話」は終わった。 「あれ?オレは電話を持っていたはずなのに、何でスプーンなんか持ってるんだ?・・・まぁいいか。」 そう言ってドッピオは持っていた「スプーン」をテーブルに戻し、支給品の確認をした。 デイパックの中には食料やランプ、そして無線が入っていた。武器は無いが、ボスから貰ったスタンドで充分だ。 「まず、外に出よう・・・ボスの命令だ。なるべく使えるヤツを集めて、必ず生き残るッ!ボスのためにも。」 こうして、悪魔の道化は殺し合いのフィールドに出る、王の一部をその身に背負って。  【イタリア料理店「トラサルディー」/1日目・00:10】  [名前]【ディアボロ】  [状態]:問題なし  [装備]:無し  [道具]:支給品一式/無線2基(通信範囲は半径1キロメートル以内)  [思考]:1)ドッピオを使い、使えるヤツを集め徒党を組み生存率を上げる         2) ゲームからの脱出   [備考]:ジョルノや暗殺チームの存在には気づいてない      :しばらくは自分は出ないつもり(誰かが自分も姿を見た場合は殺す)

戻る